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| サハラ砂漠への遠く険しい道のり 今回のモロッコ旅行の目的は何よりもサハラ砂漠だ。 サハラの大砂丘でのぼる朝日が見たい!という強い思いを胸にモロッコへ旅立ったのだ。 モロッコは中央をアトラス山脈で分断され、北と南ではだいぶ様子が異なる。北はフェズやマラケシュに代表されるような古代都市やカサブランカやラバトのような商業都市があり、公共交通ひとつとっても発展している。 しかしアトラス山脈を越えて南に下ると、そこはもう砂漠。砂漠といっても、いろいろあって岩砂漠なども砂漠である。つまり乾燥した不毛の土地の総称である。そういう意味で、モロッコ南部はほとんど砂漠だ。 もちろん私が見たいのは大砂丘。砂砂漠。 そんなサハラ砂漠へむかうバスは朝6:30出発。9時間におよぶ500-600キロの移動の旅だ。 バスターミナルは朝から人でごった返していた。お世辞にもキレイとはいえない狭いバスに乗り込んだ。 ローカルバスのため、あちこちで停まる。私たちは、そのたびに窮屈な体を伸ばすため、外に出た。 いくつか停まった街のひとつ、ミデルトでユネスという少年に声をかけられた。実は 彼がこの日の私たちの運命を大きく変えることとなる。 ユネスは、「家族(日本の感覚でいえば親戚)が砂漠で宿をやっている、砂漠へ行くならここで申し込まないか」と言う。 ついに来たか!と思った。 砂漠への拠点の街、エルフードまではまだ数百キロもあるのにもう営業は始まっているのだ。しかし、砂漠に近いエルフードあたりは客引きもかなりヒドイと聞いていたので、このあたりで一度話だけでも聞いておくのは悪くないと思った。 そのように伝えると、何やらバスターミナルから歩いて1分のオフィスで話をきいてほしいという言う。 うーん、 それは難しい。バスの出発時間は適当でそんなに時間はない。そう言うと、ユネスはバスの乗務員と話をつけると言う。 内心そこまでしてくれなくてもいいんだけど・・・、と思いつつ、まあいっかとそうすることにした。バスの乗務員は明らかに迷惑そうな顔をしていたが、無理やり話をつけたらしく、私たちはオフィスに行った。 そこは、オフィスというより家のようなところで、弟らしき人もいた。ユネスは早速写真を見せてきた。それはラクダに乗ったり、ホテルでくつろぐ観光客の写真で、「ほら、いいでしょう?」と私たちの心をそそる作戦らしいた。 私は内心、そんなことより価格表とかスケジュールを早く説明してほしかった。しばらく写真を見たあとにそう伝えると、口頭で簡単に説明された。『ラクダに乗って、テントに泊まって、夕飯を食べて、戻ってきてからホテルでシャワーと朝食と全て込みで一人400DH(約5200円)』と。 ん・・・テント? そんなハードなのは求めてないよー、と正直困惑。 私がなんとなく考えていたサハラ砂漠プランは、可能であればホテルの裏がすぐ砂漠というようなホテルに泊まる、それが難しければ早朝出発の4WDツアーに参加するというものだった。 「すっごくいい経験になるよ」と一生懸命話す少年にそっけないことも言いづらく、「でもテントは寒そうだし・・・」とか「もう少し考えたい」など曖昧に言ってみたのだが、彼には通じなかった。それどころか、 「僕たちのことを信じてないんだ!エルフードとかにいけば、悪いガイドとかがウヨウヨいて、高い金ぼったくられて、挙句のはてには金品とか取られちゃうこととかもあって、そんなんだよ!なんで今ここで決めないの!!」 ものすごい早口でそんなことを繰り返し言われた。 うーん、かなり途方にくれた。 もうバスに戻らないとまずい。でもユネスも簡単には納得してくれそうにない。 いろいろ考えているうちに面倒になってきて、「えい、どうなるかわかんないけど申し込んでしまえ!」と勢いで申し込むことにした。そのときの彼のうれしそうな顔。多分彼は悪い人ではないだろうという直感とはあったのでそこは不安はなかったが、「あー今夜はテントか・・・」ということに不安を覚えていた。 申し込みは前金として半額だけ先に払うモロッコではメジャーなシステムであった。「エルフードの次のリッサニまでバスに乗ってね、そこに迎えがいくからね。あの辺りはたくさんガイドがいるから他の人のいうことには耳をかたむけちゃダメだよ」なんて言いながら領収書を書いてもらった。 そして慌ててバスに戻ると、なんとバスが動き出していた! 「待ってー(想像) とユネスが叫び、なんとかバスは停まった。ユネスは例のバス乗務員から怒鳴られ、さらに本気で蹴られまくっていた。 ひゃーっと思ったが、バスの中の人が「乗っちゃいなよ」って感じで手招きしたのでとりあえず乗り込む。バスはすぐに出発した。荷物も載せていたので、乗り遅れたらかなりヤバかった。 きっとだいぶ待たせてしまったんだろう。この乗務員は日本人の私たちに対して、優しく接してくれていたので信頼を裏切ったようで申し訳ない気分になった。それとさきほどのユネスへの怒りっぷりとのギャップにも驚いた。私たちにはあまり非がないことはわかっているようで、何も言ってこなかったが、とりあえず後ろのほうの席で小さくなっておいた。リッサニまで行くことになったので、彼に追加料金を払わないといけないのだが、声をかけるのも怖いので、ほとぼりが冷めてからにすることにした。次の停留所では降りずに、静かに座席に座って反省している風を気取っていたら、肩をたたかれた。 何かと思い振り返ると、なんとユネスがいたのだ。 どうやらあの後、家族に電話をしたら、今日はお客が多いから手伝いに来てほしいと言われ、自分も砂漠まで行くことになり、別のバスで向かっているらしい。「リッサニまでの追加料金払った?」と聞かれたが、まだだと言うと、彼も「あの運転手キレてたから、言おうと思ったんだけど、言えなかったんだ」と苦笑しつつ、バスを降りていった。ユネスも来るとなれば安心だ。なんだかほっとしたらおなかがすいてきた。お昼ゴハンを食べていなかったことを思い出す。隣の席の人がおいしそうなサンドイッチを食べていたので、うらやましく思っていたらいきなり「食べる?」と差し出されてしまった。よほど物欲しそうだったんだろうなー。 発車後に追加料金を支払うと、彼は元の優しい感じだったので、もう調子に乗った私たちは、次のエルフードでは停車中には外にでて休憩。すると見知らぬモロッコ人が、「待ってたよ」と声をかけてきた。日本人が2人くるから迎えに行くよう言われたのだという。 おかしいなあ、次の街(リッサニ)で迎えがくるはずでは? そこで思い出したのが、さっきのユネスとの再会。私たちがまだ追加料金を払っていないことを知って、迎えを急遽エルフードによこしたのかもしれない。いろいろ話をするとなんとなくつじつまも合ったので、そうなんだと納得し、バスをエルフードで降りることにした。ユネスはまだ来ていないそうで、連れて行かれたのはカフェのようなところだった。ミントティーを飲みつつ世間話をしていたが、ユネスはなかなか来ない。世間話がいつの間にやら砂漠の話になっていた。まあ今夜砂漠に行くからいろいろ説明してくれているんだろう、くらいに思っていたら、だんだん話がプランの話になってきた。さすがにこれはおかしいと思い、いろいろ問い詰めると、どうやら全くユネスとは関係なく単に砂漠ツアーへ誘っただけらしい。日本人を待ってたなんてのもてきトークだったのだ! 彼らは、「人違いでもノープロブレム」と言うが、すでに前金として半額払っているし大問題だ。それを告げてもまだノープロブレムだと言う。まったく・・・。 とにかく「リッサニで人が待っているから行かなくてはいけない!」と告げ、大慌てでバス乗り場に戻ったが、案の定バスは出発していた。もうバスはないとのことで慌ててグランタクシーに乗り、約20km先の町、リッサニへと急いだ。 30分以上も遅れてリッサニに到着すると、当然誰もいない。いや正確にはたくさんの人はいたのだが、私たちを待っている人はいなかった。 宿に電話をしようとするも、なぜか名刺がみつからない。(あとでみつかったが) また途方にくれた。なんとも途方にくれることが多い日である。 とりあえずしばらく待ってみることにしたら、あっというまに人に囲まれた。本当に文字通り囲まれるので焦る。タクシーの運転手やガイドたちで、「どうしたんだ?」「砂漠に行くならそこに連れて行くよ?」等々うるさくまくし立てる。 この当たりは悪質ガイドやタクシー運転手も多いとガイドブックにも書いてあったし、さっきのことでだいぶ人が信じられなくなっていたので、「とにかく待ちたいんだ!」とキレ気味で告げた。それでみんな一応納得したようなフリをして黙るものの、立ち去るわけでもなく、相変わらず私を取り囲んでいる。 その輪からちょっと離れようとすれば、すぐさま「どこに行くんだ?タクシーか?」と声がかかる。 ただでさえ、さっきのことにショックを受けているので、みんなが 相当ウザく感じる そんな中、ガイドらしい青年が「砂漠のホテルの電話は全部これに入ってるから、ホテル名を言ってみて」と言う。運良く番号が入っていた!このあたりの世間は狭いらしい。早速電話すると、今迎えに言っているので、とにかく待っていればいいとのこと。ほっ助かったー、いい人もいるもんだ。 どうやら問題が解決したらしいことを知って、ほとんどの人が私の周りから去っていった。ただ一人のおっちゃんだけはずーっと私たちの横に座りこんで世間話をしていた。多分暇なんだろうな。そのうち、「迎えが遅いから、もう1回電話したほうがいい」などと言い出し、面倒だなと思いつつも2回電話した。いずれも「今迎えに行っているのでそこで待ってて」という、そばやの出前の回答だった。 ・・・待つこと1時間以上。やってきたのは、なんとユネスだった! 結局彼が向かえにくることになったそうだ。リッサニの街に着いても私たちがいなかったので、またエルフードに探しに戻ってくれたらしい。本当に申し訳ないと思い謝ると、「ほら、他の人のいうこときかないで、って言ったでしょ」と笑われた。 そのとおりだ。まだまだ甘いなあと反省。でも今日一日でだいぶ鍛えられた気がする。 もう日も暮れかけていた、午後6時。
そんなことでやっと砂漠へと行けることになったのだった。 |
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