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カスバ街道 

カスバ街道をゆく!その2


前回に続くカスバ街道の旅。いろいろ盛りだくさんで1回に収まりきらなかったので、その2。

■砂漠の都会 ワルザザード

カスバ街道、最後の町はワルザザード。ティネリールから150kmくらだ。前日にバスの時間を調べておいて、9:30発のバスに乗ることにした。

ところが、いざチケットを買おうとするとバスがないと言う。理由は"blocking"。ちなみにいまだによく理由がわかっていないんだけど。仕方なくグランタクシー乗り場へ。するとちょうどワルザザードに行きたい人が6人揃ったので、嬉しいんだか嬉しくないんだかわからないが満員御礼の7名でワルザザードへ出発。

私たち以外の残り4人のうち2人も旅人で、イギリス在住カップル。2週間の旅だそうで、だいたい似たようなルートをたどっていた。ちなみにイギリスは年に5週間くらい休みが取れるそうだが、一度に2週間以上取るのは厳しいとのこと。なんか、欧州人はみんな1ヶ月くらい ドカンと休んでるイメージがあったので意外だった。イギリスだけかな?

そういえば、砂漠の宿の奥さんはフランス人だった。モロッコ人と結婚してモロッコに住み始めたイザベル。
彼女は南仏の小さな街のツーリスト相手のレストランで働いており、年の半分は働いて、観光シーズンオフの年の半分は休み。だから毎年半年くらい旅行に出て、アフリカとか南米とかをグルっと周るっていう生活をかれこれ10年も続けていたそう。でも、半年間で1年分稼げちゃうだけあって、オンシーズンは毎日15-18時間も働いていたらしいから、ひとことで「うらやましい!」と言うのは難しい。旅のカタチと働くカタチって、本当にいろいろあるけど、自分にとって、どのカタチが最良かっていうのは本当にムズカシイ質問。

さて、ギュウギュウのベンツで足も痛くなってきたころ、ワルザザードに到着。 都会だった。
今までの砂漠の町とは違う。町の規模も大きくて、プチタクシーが走っている。プチタクシーは、町と町をつなぐグランタクシーと違って、その町の中だけを走るその名の通り小さなタクシーだ。そして外人が増えた。欧州からの旅行客のツアーバスもたくさん停まっていて、豪華なホテルもたくさんあった。そんなふうだから、町の人たちも外人に興味がないようで、私たちを見ても声をかけてくる人はいない。今までどこの町でも、ウザイほどに声をかけられていたので、ちょっとサミシイ・・・・・・。誰も私たちのことなんて気にしていない。日本ではこれが当たり前なんだけどね。あ、なんか言われた!と思ったら物乞いのおばあさんだったりして、ますますショボーン。

でもこの町にきてイチバン嬉しかったのはスーパーに普通にビールが売っていたこと。早速買って、昼間から路上で飲んでいたのは言うまでもないよ。プハー。

 

■要塞化された村 アイト・ベン・ハッドゥ の老人

カスバ街道、最後のみどころは、ワルザザードの町から30kmほど離れた、アイト・ベン・ハッドゥ。とにかくスゴイ見た目で、いかにも遺跡なのだが、実際にここで住んでいる人がいるというのが驚く。

グランタクシーの駐車場の脇から続く、小さなおみやげ物屋さんが並ぶ小道を通っていると、老人に声をかけられた。「どうせ、みやげ物やの客引きでしょ」と相手にもせず、進もうとしたが、なんだか必死の様子。英語が話せないので、(おそらくフランス語を話していたと思われるが)、まったくわからない。ついに、私たちが持っていたビニール袋と自分の店の商品を指差して、なにやら手をクロスするポーズまで取りだした。 ・・・・・??!!

少したってひらめいた!スーパーのビニール袋には、さきほど飲んだビールの空き缶が入っている。おそらくビールと店の商品と何かを交換してほしいということなのだろう。都会のワルザザードではスーパーでもビールは売っているけど、このあたりではさすがに売っていない。しかも、モロッコではビールが高い。もともとイスラム圏なのでお酒を飲む習慣がないはずだけど「やっぱり酒好きはどこにでもいるよねー」と敬虔なイスラム教徒風な老人の俗っぽさを垣間見られて、酒好きとしては嬉しくなった。でも、「ビールはさっき飲んでしまったんだよねー、こんなに期待しているのに申し訳ないなあ」と思いつつ、ソロソロと空き缶を出すと「おぉー!」とこれまた大げさなリアクション、そして落胆のポーズ。次に爆笑。さらには「ユー アー ベルベル!」と何度も言われ握手を求められる始末。うーん、ベルベルジョークってことかな?ベルベル人のツボはよくわからない。

それにしても物々交換で何がもらえたんだろうっていうのが、今になってイチバン気になる。興味のある人はあえてビールを持っていくのもいいかも。わらしべ長者になれたかもしれないのに残念だ。

 

■地獄のアトラス超え

翌日、ついにアトラスを越えて砂漠と別れてモロッコの北側へ戻る日がきた。フェズからの行きとは違うルートで、オートアトラス(高いアトラス)といって、かなり険しいコースらしい。それだけに絶景らしいので、私はかなり楽しみにしていた。しかし前日、アイト・ベン・ハッドゥで、「まさに今そのコースを通ってマラケシュから来た」という日本人カップルの女性が車酔いでかなりグロッキーになっていたので、一抹の不安も感じていた。

A.M.8:30。CTMのバス乗り場にいくと、例のイギリス在住カップルもいて朝からなごやかな雰囲気。爽やかな朝だなーなんて思っていたのに、バスが駐車場に入ってきた瞬間にそれは一変した。

『バウンドバス』

私がそう名づけたほど、バスは揺れていた。別に山道ではない。ただ駐車場に入ってきて向きを変えているだけだ。バスは信じられないほどの傾きを見せていた。

CTMは国営バスで民営バスよりレベルが高いとされている。全席指定でエアコン完備の豪華バスなはずである。それがコレか・・・・・・。昨日の日本人女性のグロッキーフェイスがよみがえる。かなりの不安を抱えつつ、バスに乗り込んだ。すると

席がない・・・・・・。

なんと私の指定席がなかった。正確には席はあるのだが、"背もたれ"がゴッソリまるごとなかった。この山道を背もたれなしで行くなんてありえない。とりあえず運転手に訴えてみたが、まったく英語が通じないので、諦めて後ろのあいている席に勝手に座った。まったく出発前からこれでは、先が思いやられると不安が高まるなか、バスは出発した。すると、予想どおりというか、おぉっと思わず声を出したくなるくらい揺れる。普通の道なのに。出発1分ですでに酔いそうだ。こういうときは「酔うかもしれないとか考えてはいけない」とよく言われることを思い出し、音楽を聞いて目を閉じた。それでも気持ちが悪い。無理やりBUMP OF CHIKEN を心で歌う。

どれくらい走っただろうか。バスが山道に入ってきたころには、「もうダメだ」というところまできていた。私はやむをえず、隣の席の同行者のひざ枕でなんとか平静を保とうとしていた。まったく景色を見るどころではない。たまにウトウトもしたが、基本的に気持ちが悪いので眠れない。それでも、なんとか一度くらいは外を見たいと思って、むりやり上体を起こして外を見ると、確かにすごい景色だったが、1秒で限界。それが、ちょうど最高点あたりだったらしく、このドライブイチバンの山場でもあった。他のみんなの酔いも山場を迎えたようで、気づいただけでも私の隣の隣の人と、その前の人が吐いていた。車内にそこはかとなく漂うゲロ臭に、今度はもらいゲロまでしそうになり、うっと何度ももだえる私であった。本当に地獄絵図の車内であった。

最高地点を通り過ぎたあたりで一休み。危機一髪で生き返った。そこからはだいぶ道のりもゆるやかだった。でも景色も別になんてことのないものになってしまっていて、せっかくの絶景は完全に見逃した。それにまだ気持ち悪かったので、景色なんてほとんど見ず、その後も横になっていた。

3時間後にマラケシュに到着したときは心底ほっとした。この旅イチバンの「ほっ」である。まったく、アトラスは想像以上に過酷であった。このアトラス越えルートは、モロッコを訪れる多くの人が通るだろう道だけど、バスで超えるのは本当にオススメできない。少なくとも酔い止めは忘れないでほしいということは強く言っておこう。

 

 

 

 
 Photo


ワルザザードの町中の標識


誰も寄ってこないぜ・・・ワルザザードのカフェ


要塞化された村に来たー


村の頂上から見下ろした景色


アトラス越え。休憩時間のグロッキー顔


ワラを背負う女性。背負いすぎ?


なんとか一枚 すでに最高地点は過ぎた

 

 

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